バトル内容といい、本筋のシナリオの内容といい、多分
史上最も盛り上がらない最終回だったと思います。
どれもこれも私の予想以下の展開しか待ってませんでした。締め方さえどうにかなれば、と思っていましたけどそれすら雑でした。
全力を出していたのは
石川てつや作画だけでした。本当に分かりやすい…
全体的にガバガバユルユルだった最強銀河究極ゼロでさえ、最終回ぐらいはキッチリ決めていたと思う…ぞ?
【六天連鎖】の凌ぎ方は、
「多分武将転生使って数揃えるんだろう」とか思ってたらまさにその通りで、その後のバトルの進行が酷い。
幸村のフィールドに残されているのは、【真・連刃】という強力な指定アタック効果を持つバーニング・ソウルドラゴン。
そして信長側のスピリットは、これ見よがしにギュウキやムメイといった、弱小BPのスピリットが残されている。更に信長の残りライフは2。
「あれ? これバーニング・ソウルドラゴンで【真・連刃】発動すれば勝てるじゃん…」一体何人の視聴者が考えたことでしょうか。
それなのに幸村は持ち前の豆腐メンタルを壊され、信長の聞くに堪えない恨み言を聞かされるばかり。
くどい。くどいにも程がある。そもそも事実上、信長の負けが確定してる時点で彼の発言は
道化以外の何物でもない。そもそも信長は
「自分は世界を知っている。だから誰よりも強い」という持論を掲げてはいましたが、
そもそも彼は世界に挑戦して
敗北を知ったからこそ国内のレベルの低さを痛感したのであって、信長一人が偉そうに語ることではありません。
どちらかと言うと、武蔵から始まり、全国のバトラーに挑んで勝ってきた幸村の方が明らかに強そうです。
ついでに彼は
「6色全部操ってるから大六天魔王」とも言っていましたが、
緑とか
黄色はほぼ
「置いてるだけ」だろ!
長くて不毛な恨み言を聞いた果てに、幸村は
「今まで戦ってきたバトラーの絆を繋いでいく」という決意をしました。
でもそれ、
46話や49話でも似たような内容のことを決意表明してましたよね? 流石に3度も同じことをやられては閉口するしかありません。
仏の顔も3度まで。信長よりも視聴者の方が大六天魔王に豹変してしまいそうです。
その後は【真・連刃】による指定アタックからの勝利…とはならず、まさかのゴッド・ゼクス-終ノ型-を指定アタック。
幸村の
「スピリット同士のバトルを楽しむ」という趣向を尊重してのことですが、やってることは
舐めプであり、間違ってもラスボス戦でやることじゃないです。
最後の最後で、信長から受け継いだソウルドラゴンかつ、未到のLv4でアタックを決めるという一大展開を繰り広げましたが、
そこに至るまでの経緯が経緯だったので、私としてはちーとも乗り気になれませんでした。
同じ「ラストアタック演出」であれば、ソードアイズの
「シャイニング・ソード単身アタック」の方が断然燃え展開です。
燃え展開というのはそこに至るまでの描写の積み重ねで初めて達成できることで、安易にツギハギに当てはめる展開ではないと思います。
実際46話の謙信戦ではきちんと流れに沿った「燃え展開」を繰り広げていたというのに…
そもそもこのバトル、
ラスボスであるはずの信長が全然強そうに見えないんです。ゴッド・ゼクス2枚はあっさりやられてしまうし、真打であるゴッド・ゼクス-終ノ型-は結果だけ見れば
「やるだけ無駄」というオチですし、
先述したように
6属性全部扱いきれてないし、言動もDQN臭くて強キャラの威厳というものが感じられません。
総じて彼は
ラスボスの器でないことは明らかです。この話…というか、この作品の最大の過ちは、
彼をラスボスに当てはめてしまったことなのかもしれません。バトルが終わった後は、
「幸村が勝って戦国時代は終わりました。」という
投げやり臭い説明にずっこけました。
尤もこの作品全体で「戦国時代」の定義が曖昧かつ、上手く生かしていた節もなかったので纏め方には期待していなかったのですが、
まさか打ち切り漫画みたいな纏め方をするとは思いませんでした。
そもそも幸村が天下を獲ったのであれば、再び天下を目指して戦国時代が始まりそうなんですが。どうなんでしょ?
で、最後は幸村VS利家のバトルを宣誓してオシマイという、予想通りすぎる結末。潔すぎます。

こうしてバトルスピリッツ 烈火魂<バーニングソウル>は本日をもって放送終了となりました。
全51話を見た上で私なりの評価を言わせていただくと、至極
「普通」なアニメでした。
ぶっちゃけ4クールもの密度はなかったと思います。
まず
「戦国時代」というコンセプト自体が、使い古された陳腐なものであり、
このアニメがその陳腐さを払拭するものだったかと聞かれると全然そんなことはなく、
「強者同士が高みを目指して戦いあう」という実にありきたりなものでした。
佐助のような弱小バトラーがいることも描かれてましたが、彼らが強者を巻き返すことはなく、本当に強い者同士が戦うだけの世界でした。
主要キャラクターたちは、みんな良くも悪くも
安定しすぎです。全員確固とした意思を持っており、話が進んでも、どのキャラクターも根底的な部分は揺らぎませんでした。
そのためキャラ同士の掛け合いに嫌悪感はありませんでしたが、誰も大した成長をしないので、張り合いもありません。
ラスボスの信長ですら自身が狂言役であることを自覚している節がありました。
蘭丸や藤吉郎などはいかにもな悪役な言動をしていましたが、そこに至るまでの掘り下げとかは全部省略されていたので、ただのDQN止まりでした。
つまるところ、
この作品に出てきたキャラクターの誰もが、登場当初の印象から抜け出すことがありませんでした。幸村は強くてかっこいい常識人です。でも、それ以上のそれ以下でもないです。それは他のキャラクターも同じです。
51話もシナリオに費やした割りには、人間ドラマがかなり薄かったと思います。
バトルに関して、序盤は丁寧にルールの説明も兼ねて描かれてましたが、
中盤はいかにもな中だるみに瀕しており、あろうことか
今まで登場してきたキースピリットたちを大した活躍もせずに噛ませ扱いにされるという事態に。
初見の人であれば「ただのバトル」止まりだったでしょうが、シリーズ初期から見守ってきた私としては複雑な心境でした。
ただ、準々決勝からは中々高クオリティのバトルを繰り広げてくれたのは良かったです。
でもラストバトルはつまんなかったです。というか、信長が弱すぎました。
あとついでに言うと、
露骨に黄色バトラーが少なかったのは何故なんでしょうか?S級バトラーだと半蔵だけです。
「黄色はマジックありきだからバトラーごとの差別化が難しい」とでも判断したんでしょうか。何とお粗末な…
以上のことから、糞というほど不満点が多いわけでもなく、かと言って良作と言い切れるほどの魅力も感じられず、
ネタ要素も意外性も薄い、平坦かつ実に普通なアニメだったという結論に達しました。
バトルスピリッツという歴史の中に組み込まれたから良かったものの、そうでなければ確実に空気化してると思います。
そういったマンネリ感も製作側が気づいていたのか、次回作ではファンタジー路線に変更するみたいです。
脚本も監督も続投。今作とは異なる世界観で今度は何を描くことになるのか、次回作もシャッキリ見ていく所存です。
それでは皆様、お疲れさまでした。
