・「劇場版 動物戦隊ジュウオウジャー ドキドキサーカスパニック!」「特大ブランコするのに地球が邪魔だから破壊します」という理不尽極まりない悪党であるドミトルを前に、
「この星を舐めるなよ」と意気込むジュウオウジャーが立ち向かうという、極めて王道なストーリーです。
駆け足展開というわけではなく、
きっちり時間内でやれることをやったというジュウオウジャーらしい手堅い印象を受けました。
不満点があるとしたら、操の扱いに関してかなぁ。
操ことジュウオウザワールドの出番は極めて薄めです。名乗り口上もありません。
もともと夏映画は(本編の撮影時期の関係上)追加戦士の出番が薄めではあるものの、今回のザワールドは白兵戦一切なしで
ひたすら釣りをするだけの存在です。野生大解放も無し。
街のど真ん中でドンパチ繰り広げたというのに、異常に気付かず呑気に釣りを満喫していたというのも少しおかしい話です。
そもそも本編見た感じでは、
「操=釣り人」というイメージはあんまり沸かないんですよね。ひたすらあの面倒くさい性格ばかりが過ります。
番組当初に描いていた操って、製作側としては釣り人をイメージしてたんですかね。
劇場オリジナルメカであるキューブコンドルの活躍も薄め。
キョウリュウジャーのトバスピノのような
「ナンバリング0番目」ではあるものの、
序盤にコンドルワイルドとしてちょっと戦うのと、終盤でワイルドトウサイキングのウェポンになるくらいです。
個人的にはキューブコンドルの合体メカを使って戦ってほしかったところです。
そもそもトバスピノのように
「何故0番目なのか」という点が劇中でフォローされてません。ちょっと残念でした。
とまあ、細かい点に疑問を生じるところはあったものの、全体的な雰囲気はTV版そのものでしたので、十分楽しめたと思います。
・「劇場版仮面ライダーゴースト 100の眼魂とゴースト運命の瞬間」結論から言えば、
面白かったです。
TV版の福田さんの仕事っぷりからかなり危惧していましたが、予想以上に楽しむことができたと思います。
(期待値が物凄く低かったせいだとは言ってはいけない)多少強引な点こそあるもののストーリーは理解できないことないですし(強引な点はほぼ「特撮のお約束」で何となく許せるレベル)、
タケル・マコト・アランにはそれぞれ見せ場が用意されてますし、
バトルもペチペチ叩いてばかりだった前二作と違い、CGを程々に使用した十分なクオリティに仕上がっています。
何より謳い文句として売りにしていた
「切なさ」を多少なりとも感じることができました。
「ゴーストになればメシを食わなくても生きていける」と主張するアルゴスに
「俺はメシを食べたいから生き返る!」と
豪語するタケル…
そりゃ、メシ食べることは人間にとって大事なことですわ。言葉としては軽いけど、生き返るための目標としては十分です。
結局タケルの身体は終盤で消滅し、クライマックスにてご都合展開で復活することになりますが、
シーンカットがタケルが生き返った直後の状態で終わってる為、本編のように
「どうせまたゴーストの状態で復活したんだろ…」ではなく、
「もしかしたら正真正銘生き返ったのかもしれない」と考察の余地が生ませているのが良かったです。意図していたかどうかは知りませんが。
101人の英雄が本編と違い、それぞれにキャストが割り当てられていたことも良かったです。
卑弥呼や三蔵法師もちゃんと女性キャストです。(三蔵法師は原作設定では男性のはずですが、そこはご愛嬌。)
きちんと一人ひとり個性の違いを感じることができて楽しかったです。地味に特撮OB・OGの人が配役されている点に関してもグッドでした。
(というかそもそも、関智一1人で演じ切ること自体無理があるんだよなぁ…)
不満点としては、マコトの父親や仙人の設定が挙げられます。
特に仙人に関してかなり酷い気もします。ぶっちゃけ言ってしまえば今回の事件が起きてしまったのも
元はと言えば仙人が原因(実際に言及されてた)なのですが、
「てへぺろ(・ω<)」程度にしか反省していませんでした。
それで世界が滅びかけているというのに…
ただTV本編のストーリーが既に擁護不可能レベルに落ちぶれているのは多分誰の目から見ても明らかなので、
本編との整合性を考慮することは、即ちただ単に粗探しをするだけの不毛な行為に過ぎないと思います。
劇場版ストーリー単独で見るのが1番だと思います。
そもそも今まで感じていたゴーストの不手際・至らなさというのが、
「理由不明な描写・後付け感満載の設定・それにより引き起こされる矛盾」といった事前の練り込み不足が招いたものであり、
言い換えれば
「きちんと設定を作りこんでいれば(あとそれに見合う予算があれば)
それなりに見れる作品が作れる」ということの裏返しとも言えます。
今回の映画はそんな感じで、映画の中での話はきちんとその中で無理なく終わってます。
「せめて映画くらいは楽しめれば…」という筆者の一抹の想いを汲み取ってくれた、貴重な体験でした。