HG 1/144 RX-78「ガンダム」(絶版品) レビュー

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HG 1/144 RX-78「ガンダム」
メーカー小売価格:1000円(税抜)

ブログ4年目記念レビューです。実は記念記事とか書くのは初めてだったりする。
今回ご紹介するのはガンプラ史の中で唯一「絶版」とアナウンスされたガンダムのプラモデルです。
絶版故に手に入れるのは少々苦労しましたが、この度どうにか未開封品の入手に漕ぎ付くことが出来ました。
1度っきりの人生でそうそう手に入れる機会のない絶版品のガンダム、とくとご覧にあれ。

当記事で紹介しているキットは付属のシールのみ貼った素組みの状態です。
HG 1/144 RX-78 「ガンダム」、公式によれば発売日は1990年の3月。HGブランドの発商品です。
元々HGブランドとは1/144サイズのガンプラを通称するものではなく、ブランド初期の頃は
1/100サイズ(VガンやガンダムW)や1/550(0083)なども発売されてました。所謂「ガンプラの新企画」の通称だったわけです。
殆どのものが今なお生産されており、店頭で見かけるものも少なくないですが、
このファーストガンダムのみ、ランナー製作用の金型が劣化してしまい、以後の発売が不可能になってしまったのです。

それにしてもこのHG 1/144 RX-78 「ガンダム」という名称ですが、何処か違和感を感じる部分がないでしょうか。
そう、今現在ファーストガンダムの型式名は「RX-78-2なのに対し、こちらは「RX-78」なのです。
「RX-78-2たる所以は、プロトタイプガンダムである「RX-78-1の存在故なのですが、
実はプロトタイプ云々の設定は、当キットの発売時期である1990年では固まりきっていなかったのです
その為このHG 1/144 RX-78 ガンダムは、現代とは異なるデザインや設定が見受けられます。
元々ガンダムというのは後付に次ぐ後付に成り立っているようなものですから、(宇宙世紀は特に)
時代による設定の変化が垣間見える当キットは、ガンダム史を学ぶ上での貴重な教材とも言えるかと思われます。

長々と説明してしまいましたが、それでは早速箱の中を開けてみましょう。

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中を開けてみて。
説明書の下に袋詰めされたランナー。更には特性のカバーらしきものも。


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まず説明書。
そもそもHGブランドというのはガンプラ生誕10周年を記念にして生まれたものなので、
説明書そのものも記念品に相応しい、ボリュームのある内容となっています。


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まず開いて最初の部分は、MSたるガンダムの諸設定と宇宙世紀における活躍の文献。
イラストも多く描きこまれており、見応えは中々です。文章ながったるいけど。
ちなみにイラスト担当は大河原氏ではなくカトキ氏。


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こちらは大河原氏によって描かれた、当キットのモデル用のガンダムのデザイン。
10周年記念ということで、「究極のRX-78ガンダム」を目指して描かれたようです。
パッと見でも現在のデザインとの違いが分かりますね。


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次ページからはキットの作り方が書かれています。


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シールの貼り付け位置・塗装例も書かれていますが…
普通こういうのはカラーページでやるべきなんですけどね。


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最後はHG 1/144 RX-78 ガンダム誕生に纏わる、モデラーの新井智之氏と我らがガワラ先生の裏話。
書かれてる内容を要約すると、「資料は豊富だったが、それを1/144サイズに収めるのはメチャクチャ苦労した」とのこと。
当時はまだ技術も洗練されてませんでしたからね。今だからこそ言えることですが。

兎にも角にも各スタッフ達の力をフルに結集し、10周年記念として作られた我らがファーストガンダム。
それではいよいよランナーを見ていきましょう。


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ちなみに袋はホチキス止めでした。時代を感じる… のかな?


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まず最初のランナー。一目瞭然のカラフルっぷり。
現在でも多色形成ランナーは珍しくないですが、「ここまで細かく色分けされたのは初めて!」と思う方も多いのではないでしょうか。
これこそ当時のバンダイ技術部(命名)が誇った最新技術「システムインジェクション」であり、
金型に流し込む時点で非常に細かい色分けを実現することに成功しています。
以降のHGシリーズ(V2ガンダムなど)にも採用されています。


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しかしこのシステムインジェクション、ランナーから切り離した時点で色分けされていることにより、
素組みならともかく塗装モデラーにとっては塗装がやり辛いことこの上なく、そういった意見も見られたそうです。
また生産側にとってもシステムインジェクションというは厄介者だったそうで、
細かく色分けしてランナーを形成するというのは金型に負担がかかることだったらしいです。
現にランナーの隅々を見渡すと、妙なバリが見られたり、色分けが不十分で滲んでる部分も見受けられます。
金型が劣化してきている証拠でしょう。恐らく当キットの生産中止にも一役買っていたかと思われます。


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あと2つのランナーはいつも通りの単色ランナー。


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そして最後の1つがこの「MSジョイントⅡ」。
このフレームに沿ってパーツを取り付けることでキットが完成します。
MGシリーズのフレームや、RGシリーズのアドヴァンスドMSジョイントの礎的存在ですね。
原型である「MSジョイント」は、モビルスーツ戦国伝という古いキットに使用されていたようです。


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あとはシール。
といってもパーツの色分けを補うものと言うよりは、デカール的な意味合いが強いです。


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後はこんなものも付いてました。見た感じとしては、販売店側が持つべき売上記録&補充用カードですね。
何でこんなものがキットの中に入ってたのか…?
ちなみに筆者の当キットの購入金額は3700円ほど。


それでは箱の中身は全て紹介したので、いよいよ組み立ててみましょう。


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パチ組みしたのがこちら。う~ん、頭がデカくて手足が細い印象です。
手足が細いのはアニメ準拠と考えてもいいですが、少なくとも頭のデカさは致命的ですかね。


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顔。パチ組の時点ではアンテナ中央の赤い部分も色分けされてません。
顔の造形は全体的に縦に細長く、モールドもダルめです。


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胸は結構良い出来かと。システムインジェクションのおかげで色分けも完璧です。
しかし金型劣化故の成形不良なのか、中央部にひっかきキズのようなものが目立ちます。


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腕。関節部が丸見えなので、MSジョイントⅡが使われていることが一目瞭然です。
当時はポリキャップなどの関節部を隠す技術がまだなかったのよね。


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腰。V時パーソナルマークはハチ組みでは再現されず。
フロントアーマーの黄色い部分には見慣れないモールドが彫られてますね。


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バックパック。
サーベル柄がかなり長い印象。


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脚。ちょっと細め。微妙にモールドも彫られています。


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裏側。何故か脹脛スラスターだけ別パーツという不思議。


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そしてこれが一通りのシールを貼りつけたもの。
プラモ用とはいえ、現在とはデザインが全く異なります。なんか全体的にオモチャっぽいですね。
こういうのは出来る限り設定画に似せた方がウケが良いと思うのですが。


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肩には謎の水色ライン。モールドなどは彫られてないので貼るのは少し大変。


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フロントアーマーにも謎の赤いシール。何じゃこれ?


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機体番号である78番のシールも所々に。やっぱりオモチャ臭い…


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ちなに見ての通り、シールを全て貼りつけてもツインアイの部分だけは色分けされません
ここは一番重視する点だと思うのですが… とりあえずこのままレビューを続けます。


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いつも通り可動範囲チェック。
腕。肩共に90度。この頃はまだ一軸ジョイントです。


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一軸なので引き出し機構もありません。


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首は回転するだけ。顎を引いたりとかはできません。


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腰は「とある事情」の為動かず。事情については後述します。


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脚のジョイントも一軸なので、そこそこ開きます。
ただ足首はあまり動かず、何よりジョイント部の保持力が弱いので安定性はかなり悪いです。


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脚関節。膝立ちはできません。
このポーズで自立させるのはかなり苦労します。めっちゃプルプルする…

総じて現代のキットには遠く及ばないものの、旧キットよりは柔軟な可動性はあるかと。


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その他付属品。


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ビームライフル。かなり小ぶりですが、旧キットの時点で結構小さかったような。


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シールド。色分けがかなり綺麗です。


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内部にはビームライフルを装填できる他、予備のビームサーベルも収納されているという、
今ではあまり見られないような設定も盛り込まれてます。(ビームサーベルは取り外しできません)


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シールドはバックパックにも接続可能。


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バズーカ。グリップが動かないので保持はかなり安定しません。


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こちらも腰に装填可能。
バズーカを腰に装填させるギミックはこのキットから生まれたんだとか。


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ビームサーベル。当時はクリアパーツなんて使われてないので、絶賛爪楊枝造形となっています。


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フル装備。脚がヘタれてるのと、顔が妙に細長いせいでやる気ないような立ち方に…


それではとりあえずブンドドしてみましょうか。


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とにかく脚の安定性が悪いので、バランスよく立たせるだけでも一苦労。
次いでバズーカの保持バランスの悪さも良くない点ですね。

とまあ、ここまで説明すれば「時代相応の古いキットだなぁ」と思うかもしれませんが、
実はこのキット、1点だけある意外な特徴があるのです。


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このキットに付属するコアファイター。
システムインジェクションのおかげでほぼほぼ色分けされており、印象も悪くないです。


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翼を丸めて、上部の白いウイングを取り払い、さかさまにして…


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後は上半身と下半身を繋ぎ合わせれば…そう!
なんとこのキット、1/144サイズでありながら、コアファイターの変形・合体ギミックを再現しているのです!
前述した、腰の動かない「とある事情」とはこのコアファイターの合体ギミックのことです。
今ではRGでも同じギミックが搭載されてますが、1990年の技術でここまで再現するとは非常に驚きです。


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以上、HG 1/144 RX-78 「ガンダム」のレビューでした。

1990年での最高技術とはいえ、現代で見ると粗が多く、素直に良キットとは言えませんが、
コアファイターのギミックが再現されてたり、システムインジェクションやMSジョイントなど、
当時の技術やその推移を伺わせる点も多く、単なる古いキットとして処理するには惜しい面もあります。
特にガンプラ史を紐解く上ではかなり重要なキットではないでしょうか。説明書の文献も豊富ですし。
ですからこのキットを組み立てる意味はあまりないです。
ぶっちゃけ説明書だけ読んで歴史を味わい、後は積プラとして眠ってもらうのも一興かと思います。
「作ること」ではなく、「存在すること」に意味があるという不思議な不思議なガンプラ。まあ絶版品だしね。

現在は新品で入手することは困難であり、amazonでも幾つか出品されてますが、いずれもかなりの高額です。
正直プラモデルとしての出来栄えはアレなので、無理して購入することもないです。HGUC買ってればいいです。
その歴史的価値に惚れたガノタの方になら、勧めるかもしれません。何れにせよ、お財布とは要相談です。


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[ 2014/09/06 16:03 ] ガンプラ(HG) | TB(0) | CM(6)

アリオスのアンテナがフェニーチェしてしまった今日この頃

うわ!よくまぁこんな希少キットが手に入りましたね…唯一絶版している超レアもの…

それにしてもこのランナーの成形はとにかくすごいものがありますね…
胸部なんて色分け完璧って。まぁそのせいで金型に負担がかかってしまうんですけどね…

あとなんか手首が小さいような気がしないでもない…
やはりモナカなのも仕方ないですかね。

「とりあえず作ってみよーよ!!」がセイ君ボイスで脳内再生されたのはここだけの秘密。
[ 2014/09/06 17:09 ] [ 編集 ]

Re: アリオスのアンテナがフェニーチェしてしまった今日この頃

(´゚д゚`)(仮)様、コメントありがとうございます!
アリオスはMA形態にしてからあんまり動かしてませんね…

>うわ!よくまぁこんな希少キットが手に入りましたね…唯一絶版している超レアもの…

本当に地道に探し回った甲斐がありました。

>それにしてもこのランナーの成形はとにかくすごいものがありますね…
胸部なんて色分け完璧って。まぁそのせいで金型に負担がかかってしまうんですけどね…

技術的にはすごいですが、やっぱりパーツ分けしてほしいところです。
塗装難度的にもそうなんですが、ボディを幾つものパーツで構成するって、何かロボットらしいじゃないですか。
複数のパーツ構成による厚みとかのバランスもそれっぽくて。

>あとなんか手首が小さいような気がしないでもない…
やはりモナカなのも仕方ないですかね。

どちらかといえば、HGUCの方がやや大きめに感じます。
ロボットとしては若干スケールの大きい方が迫力があるので、それが間違いだとは思いませんけどね。
[ 2014/09/07 11:15 ] [ 編集 ]

SDガンダムのカミーユを見てケラケラ笑っていた幼かった私。

いやー、懐かしいですねwこのキットは私が幼かった頃「V」「ZZ」と来て3番目に手に入れた旧HGでしたからよく覚えています(^-^*)/
ガンダム10周年記念といえば「F91」が制作され頃ですが私ぐらいの子供はBB戦士の方に興味が行っていて
宇宙世紀本編は人気が下火になり始めた頃です、この時点でファン層は二分される下地は出来ていたのかもしれません
私もこのキットを手に入れたのはGガンが始まった頃ですから…(^▽^;)
 当時は最初から色分けされていてコアブロックまで再現された本キットは子供心に十分満足だったのですが
こうして大人になって今一度見てみると欠点が多いですね、稼働はともかく、Aパーツの接合用ピンが目立っていますし。
(旧HG ZZのコアブロックも輪をかけて悪いですがw)
このキットを経てシステムインジェクションの大幅な導入を止め、パーツの細分化という方向性でHGUCに繋がったと考えると
過渡期のキットと言えます、アニメ本編も宇宙世紀からアナザーへと移り変わっていく時代ですから手さぐり状態だった事が伺えますσ(゚・゚*)
[ 2014/09/07 13:16 ] [ 編集 ]

ああ、これ押入れの何処かにあります。
それほどの貴重品だとは思わなかったけど、多分、パーツのいくつかは切り離して仮組で遊んでるから、オクには出せませんなw
出た当時は感動しましたね。
出来そのものより、
「一度、出た機体でもまたプラモにできるんだ!という事実に。
[ 2014/09/07 14:24 ] [ 編集 ]

Re: SDガンダムのカミーユを見てケラケラ笑っていた幼かった私。

ソバスチン様、コメントありがとうございます!
やはり当時の世代の方はプラモ持ってたんですね。
当時は技術力の問題で、Zガンダムの変形もオリジナル形態だったとか。

>このキットを経てシステムインジェクションの大幅な導入を止め、パーツの細分化という方向性でHGUCに繋がったと考えると 過渡期のキットと言えます

このガンダムがHGブランド初商品ですからね。
1作目で当時の技術を集大成させ、その後のシリーズで再び技術を培ったのでしょう。
今では新ブランド「RE」シリーズが始まりますが、やはり最初は同じ1/100のMG技術の集大成なのでしょうか。
正直これ以上進化するとなるとどうなるのか… 想像もできませんw
[ 2014/09/11 00:03 ] [ 編集 ]

Re: タイトルなし

児斗玉文章様、コメントありがとうございます!

仮組した後でも、中古品としてならそこそこ安い価格で売れるのでは…(^^;
という中古販売の話はさておき。まあ今となっては組んで遊ぶことより、存在することが重要なキットですからね。
古いキットがリメイクされるのは嬉しいですよね。私もHGCEストライクは凄く嬉しかったです。
多分今後もMGガンダムver4.0とか出るんだろうなぁ…(^^;
[ 2014/09/11 00:20 ] [ 編集 ]

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