WOLT、ラングリッサーⅤを語る

レギュラーパッケージ。

1997年7月。ラングリッサーⅣ発売を間近に迫った日の事。
開発ブランドであるメサイヤではその次回作である『ラングリッサーⅤ』の開発が始まりましたとさ。
(元々ⅣとⅤは同時製作前提だったようだが)
正式名称は『ラングリッサーⅤ ~The End of Legend』
その名からも分かる通り【伝説の終わり】に恥じぬ、シリーズにピリオドを打つ作品となる。

早いものでシリーズは本作で5作目。
シリーズ開始当初はバブル景気やゲーム業界自体が潤っていたこともあって続々とリリースが続いていたが、
元々は知名度の一般受けの良いとは言い難いシュミレーションRPGゲーム。
おまけにメサイヤブランドを保有する日本コンピュータシステムは元々ソフトウェア開発会社。
ゲーム開発はあくまでも副業。一応人気があったとはいえよくもまあここまで続いたもんですこと。

発売は98年6月。その頃では悪名高き『センチメンタルグラフティ』がギャルゲ市場を氷河期化させ、
更にその流れでセガサターンというハード自体の没落を招いてしまった。
偶然のタイミングとはいえ、シリーズを終わらせるのであれば丁度良いタイミングと言えただろう。

ハード末期に発売されたシリーズ完結編。ファンの求めるラングリッサーは、そこに存在したのでしょうか?
ブレンダがいない。

時系列は前作『Ⅳ』のCルート終盤あたりから開始。所謂前作の後日談的な立ち位置。
シリーズを跨ぐごとに数百年~数千年単位で時代が経過した過去作と比べればかなり異例のこと。
本作は時系列だけでなく、人物や世界観を取り巻く諸設定が過去作よりもだいぶ異なった雰囲気を放っている。

まず主人公は王族でも一般市民でもなく、とある悪の技術者によって生み出された改造人間
彼と敵対する黒幕や仲間の中には地球と全く別の星から来た、所謂異星人も含まれており、
最終的には地球を救うために主人公たちは宇宙船宇宙を目指すことになる
なんとこのシリーズ最終作、あろうことかSF路線を歩むことになってしまったのだ。
つい最近までファンタジーやってたのに。

やっぱブレンダがいない。

そんなもんなので、シリーズのシナリオの主軸であった「戦記モノ」路線は相対的に薄まる。
前作の後日談だけあって大きな戦争は起こらず、精々小競り合い程度。
そんな歴史の裏舞台を主人公たちは歩むわけなので、シナリオ自体もかなり暗い。というか地味。
後半になるにつれてSF要素が目立ち始め、途端に「マナ」だの「クリムゾ人」だの専門用語も続々と登場する。
難解というわけではなく飲み込み自体は難しくないが、如何せん唐突さは否めない。

このような突拍子の無いSF展開はどう見ても不自然であり、古くからのファンからは顰蹙を買ったとか。
一応シリーズ特有のキャラ描写のクオリティや個性の強さは据え置きである為、その辺は抜かりない。
敵味方共に魅力的な面子が揃っている。個人的に『Ⅳ』よりも個性が尖っているので、こっちのキャラの方が好き。
演出面も随所随所で一枚絵を使ってシナリオに花を添えてくれる。
また、前作に引き続き本編はほぼフルボイス。シナリオ分岐システムこそ廃止されてしまったものの、
そのおかげか前作よりもボイスの当てられているシーンが多くなったように思える。
シナリオの幕の下ろし方も綺麗で嫌いではないし、エンディングソングも高評価。
確かに全体的に作風は暗いものの、暗さなりの良さが光る作品だと思う。
ただやはり、「重厚な戦記モノ」として歩んできたシリーズの最終作としてはミスマッチ感があるのは否めない。
それは誰しもが思うところだろう。

ただシリーズ共通のお約束として、隠しシナリオでは相変わらずムード台無しのギャグ展開を披露する。
シリーズ最終作だけあってスタッフ陣も中々ぶっ飛んでいる。やはりラングはラングなのである。


さてちょっと早いがここでキャラクター紹介。
いつも通りなら主人公&ヒロイン紹介ですが、今回はPTメンバー自体が少ないので全員紹介しますよ。


シグマ。OPムービーの剣が長い。

・シグマ
主人公。前作のとある悪役ポジのキャラの手によって改造を施された青年。
クールで感情面は人間らしいが、改造を施されたせいで過去の記憶や知識を殆ど失っている。
シリーズ最終作だけあってか、設定は今までの主人公よりも作り込まれている。詳細はゲーム本編にて。
初期クラスはファイターで、キャラメイクに応じて様々な職種にクラスチェンジ可能。
でも恐らく妥当に歩兵路線を歩むのが1番だと思われる。
CVは緑川光。本人がゲーマーだけあって、ラングへの出演は目標の1つだった様子。


ラムダ。露出率が低いのにこのエロさ。

・ラムダ
ヒロイン候補の1人。シナリオ1から仲間に加入している。
シグマと同様に改造人間であり、知識は豊富であるものの感情表現に疎い。
実は彼女の存在は前作から伏線が張られており、シナリオ中盤でとある転機を迎える。そして以後空気度が増す。
初期クラスはウォーロック。ほぼ全ての魔法を習得可能という優秀ポジション。
CVは皆口裕子。過去作では『Ⅰ』のクリス役で出演されていた。


ブレンダ。ラングはヘソで持ってきたんだよ!

・ブレンダ
ヒロイン候補の1人。傭兵団を率いる女首領。それらしい姉御肌な性格。
登場時から何かと影を匂わせる胡散臭い人物で、ある意味シナリオを複雑にしている要因とも言える。
見た目通りヒロインの中では一番加齢ポジである為、人気は女性陣の中じゃ低い。公式でもネタにされた。
ついでに言うと宣伝広告とかの露出も少ない。肌の露出は高いのに。スタッフも人気が出ないことを見越してたのだろうか。
初期クラスはナイトであり、騎兵メイン。魔法職にすると一風変わった癖のある魔法を習得する。
でも騎兵路線を突っ走らせるのがオツ。
CVは富沢美知恵。過去作では『Ⅱ』のソニア役で出演されていた。


クラレット。胸を注視すると…?

・クラレット
ヒロイン候補の1人。カルザス王国の王女。
根暗な連中の多いPTメンバーの中では1番明るくお転婆な性格。その分我儘でやや他力本願。
シリーズお馴染みの「飛兵の女キャラ」だけあって、スタッフからの寵愛を一身に受けている。

・ヒロインの中で1番若く手頃な年齢(17歳)
・敵に襲われている中で主人公が助け出すというシチュエーションで仲間になる
・ヒロインの中で主人公との絡みが最も多い
・主人公と彼女しか使えない専用武器がある
・最終的に添い遂げられる異性が主人公くらいしかいない
・お姫様である
・かわいい


…という屈指のヒロイン属性である。シリーズのお約束的には隠れヒロインだが、最早隠れてない。
初期クラスはペガサスナイト。その他にも神官戦士にもなれるが、やっぱ飛兵メインで育てるのが1番。
CVは川上とも子。フルボイスゲーだけあって、氏が亡くなられた今では全盛期のボイスが堪能できる貴重なゲームと言えるかも。


アルフレッド。脚が長い。

・アルフレッド
レイノルズ地方領主の息子。要するにボンボンのお坊ちゃま。
世間慣れしてないせいで性格は非常にゆとり臭いものの、最終的には心身共に大きく成長する。
けどまぁ、男である時点でこのゲーム的な立ち位置ではすこぶる地味である。仕方ないね。
初期クラスはファイター。水兵にもなれるが歩兵一本に絞るのがオツ。地味さに拍車がかかる。
CV岩永哲哉。「主役になれない」という中の人のジンクスは今作においてもネタにされる。


ランフォード。PTメンバー唯一の横向き顔。

・ランフォード
連邦軍の元帥閣下。ユニットでの正式名称は「ランフォード元帥」。
前作でも仲間キャラとして登場したが、今作ではグラフィックも一新し再登場。でもやっぱり男なので地味。
初期クラスはナイト。飛兵にもなれるがやはりというか歩兵でバランスよく育ってもらうのが1番。
CVは安井邦彦。PTメンバーの声優陣では1番パっとしない…


以上6名が最終的なPTメンバー。シリーズ屈指の少なさである。
当然きちんと役割を決めて育てなければ攻略難易度は高くなる。
基本的にイメージ通り育てていいが、そうなると回復専門職がいなくなるので、ラムダあたりを路線変更させておきたいところ。
とにかくPT内では飛兵指揮官と騎兵指揮官を1名ずつ育てるようにしよう。それ以外は歩兵でいい。

ちなみにクラレットの説明で【最終的に添い遂げられる異性が主人公くらいしかいない】と書き記したが、
裏を返せばそれ以外のヒロインには主人公がいなくとも、相棒となる異性が存在するのである。(恋人とは限らない)
ヒロインを選ぶ際はそういう点も含めて注意しよう。まあ、世の中には略奪をオツとする人もいるみたいで…(^^;


なおデータは引き継いでいる様子

戦闘システムは『Ⅳ』の発展系。引き続き敵味方フェーズ関係なく、判断力によって行動順が決まる。
今作では傭兵の判断力が廃止され、全て指揮官の判断力に依存することに。
このおかげで指揮官・傭兵共に同時移動可能になったのでテンポも改善され、
また騎兵や飛兵の傭兵も、判断力の高い指揮官であれば素早く行動することができるようになった。


普通の移動範囲。

移動自体もマス目ではなく、フリー移動形式に。ここが『Ⅴ』における一番重要な変更点。
それに伴いユニットのエリアを占める大きさが変わっている。
今までのユニットの大きさが「1×1マス」サイズだとしたら、指揮官は「1.5×1.5マス」サイズに。
歩兵や槍兵の大きさは「1×1マス」のままなので、指揮官を囲んで防御する際は少々工夫が必要になる。
また、ユニット同士は0.5マスだけでも接触していれば攻撃が可能なので、被弾確率も大きくなってしまった。
裏を返せばこちらからも攻撃し易くなったので、指揮官の能力の高さをフルに活用すれば戦いを有利に進めることも可能だ。
その他にも飛兵や騎兵などの移動力の高いユニットも、「1.5×1.5マス」サイズに変更された為、
高い移動力を生かして攻撃がしやすく改善されたと言えよう。


拡大移動範囲。分かり辛くてごめんよ。

ユニットの攻撃範囲にも少々変化が。
ユニットを移動させる際は、「ユニットが移動して攻撃できる範囲」「ユニットを動かせるが攻撃はできない範囲」が表示される。
ユニットごとに両者の範囲の違いはあるものの、基本的に後者の方が前者よりも範囲が広い。
「今までは移動できる範囲が全部攻撃対象だったのに!」とシステムの改変に不満を漏らす人もいるかもしれないが、
このシステム、面白いことにユニットを移動せずに放置すると、傭兵のみ移動可能範囲が広くなるのだ。(一度移動すると元に戻る)
これにより「待機して迎撃」という作戦におけるメリットが増えたことになる。
最初から待ち伏せするのもよし、お互い歩み寄る中で一旦進軍を止めることで移動範囲を増やして一気に特攻するのもよし。
ただしこのゲームには魔法という遠隔攻撃がある上に、指揮官の移動力は一切変わらない為、
下手に迎撃体勢に臨むのは禁物。何事も後手に回りすぎるのは決してよいことではないということだ。

SS版だとちょっと切り替わり早い?

戦闘画面に入るまでのロード時間のテンポ面も改善。
ロード自体は行われるのだが、画面が暗転するのではなく敵やこちらの戦闘能力を表示させた後に戦闘画面に移るようになった。
BGMも切り替わらない為、視覚的・聴覚的にも優しい仕様に。
ただしオプション画面から戦闘をOFFにしても、指揮官同士の戦いでは最低一回は画面が切り替わるのが難点。

ちなみにゲーム自体の難易度はあまり高くない。多分シリーズでは最も簡単。
システムが改善されたのも大きいが、何よりシリーズ共通で脅威であるはずの「メテオ」を敵が殆ど使ってこない。
後半になってチラホラ使ってくる程度。前作では雨あられのように降ってきたのに…
また、よく「強敵相手に撤退するか、無理をしてでも強行突破する」という2択を求められるシチュエーションもあるが、
再序盤を除けば大抵力でゴリ押しできるようなゲームデザインに仕上がっている。
尤もシュミレーションだけあって、舐めてかかれば痛い目を見ることになるのはお忘れなく。
とにかく『Ⅴ』はシリーズ最終作だけあって、システムも洗練され非常に遊びやすい
シュミレーションゲームとしては、ラングリッサーシリーズが辿った1つの完成形と言って差し支えないだろう。


真ん中にシェルファニールがいるのが納得いかない。

後年ラングリッサーシリーズは『Ⅳ&Ⅴ ファイナルエディッション』をPSにて発売することになる。
内容はタイトルからも分かるように、PS移植された『Ⅳ』と『Ⅴ』のディスク2枚組。
『Ⅳ』はシステムを全て『Ⅴ』のものに置き換え、それ相応に調整が施された為遊びやすくなっており、
『Ⅴ』に関してはハードモードが追加され、より深く遊びこめるようになった。
とにかくハードモードの調整っぷりは尋常ではない。これまで培ってきた知識を全て生かすつもりで挑もう。
この『Ⅳ&Ⅴ』は現在PSゲームアーカイブスでも配信中なので、興味があれば是非プレイしてほしい。

元々『Ⅴ』が「シリーズ最終作」と銘打たれていただけあって、
ラングリッサーは『Ⅳ&Ⅴ』の発売を最後に、ひとまずのシリーズ展開の落ち着きを見せる。
大体の紹介サイトでは『Ⅰ~Ⅴ』を一括りとしてシリーズの紹介をしているのだが、


何ぞこれ?

しかしラングリッサーは死滅していなかった!

「シリーズ最終作」という疎い文句はあっさり崩れ落ちた。
それは『Ⅳ&Ⅴ』発売後の約9ヶ月後のこと。随分と早い撤回である。
突然の復活を遂げたラングリッサー。唐突に現れたその作品の出来栄えとは如何なるものなのか?
それは多分、「ラングシリーズはⅠ~Ⅴまで」というファンの共通認識からモロに明らかだと思うが…

何かと作品紹介ではハブられやすい次回作『ラングリッサーミレニアム』
私は逃げも隠れもしません。真正面からその作品をぶった切っていくつもりです。次回もお楽しみに。
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[ 2015/04/08 16:03 ] ラングリッサー | TB(0) | CM(2)

ああ、やはりSFになっていたのですね。
確かサタマガの付録CDか何かで1面だけ収録されてたんですが、
なんか違う…と思ったものです。
これまでのレビューを読んで、どれもやれば面白そうなだけに、
事前に露出する範囲とかいろいろと惜しい気が。
[ 2015/04/08 20:48 ] [ 編集 ]

Re: タイトルなし

児斗玉文章様、コメントありがとうございます!

SF路線はやはり賛否強いみたいですね。
宣伝の面でラングが下手なのは私も感じています。
ラング3~5のジャケットやイメージイラストのキャラクターの配置とか、妙なおかしさを感じます。特に4。
メサイヤ側のキャラクター設定とうるし原さんの設定との間で連携ができていないのではと感じました。
外注故の伝達不足というところでしょうか。
ゲーム自体は非常に面白いので、暇があれば児斗玉様にも是非プレイしてほしいです。
[ 2015/04/13 23:50 ] [ 編集 ]

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